
[2016/02/26]
広告効果測定の「アトリビューション分析」を、シンプルに理解する
オンラインの広告効果測定で、とにかくわかりづらいのが「アトリビューション分析」です。
この記事では、すでに広告効果測定を導入済みの方はもちろん、これから導入しようという方も対象に、アトリビューション分析を理解してコンバージョンの増加につなげる、最もシンプルな方法を解説します。
「アトリビューション」をかんたんに説明すると
まず「アトリビューション」とは、一言でいうと「それぞれの集客経路が、コンバージョンユーザーにどのタイミングで何回経由されたか、のデータ」なのですが、これだけではまだよくわからないため、例を出してわかりやすく説明します。
全てのコンバージョンユーザーは「集客経路のどこかから」やってくる
サイトでコンバージョンするユーザーは、ほとんど全てが「どこかの集客経路から」やってきます。
リスティング広告、ディスプレイ広告、Google検索やYahoo!検索、提携先サイトのリンク、あるいはコンテンツマーケティングのブログやメルマガなどが、その集客経路となります。
コンバージョンしたユーザーの訪問履歴を箇条書きにすると・・・
例えば、AdWordsから「初めてサイトを訪問した」ユーザーが、その後YDNで「再訪問」し、さらにその後、Google検索で訪問して「コンバージョン」したとします。
このコンバージョンまでの訪問を箇条書きにすると、次のようになります。
- ◆この「コンバージョンユーザーは」下記の集客経路を使っていた。
- 初回訪問のときは、リスティング広告
- 再訪問のときは、YDN広告
- コンバージョン訪問のときは、Google自然検索
これをアトリビューションで説明すると・・・
この訪問履歴は、このように言い換えることができます。
- ◆このコンバージョンユーザーによって、
- リスティング広告には、初回訪問1
- YDN広告には、再訪問1
- Google自然検索には、コンバージョン訪問1
- と、「それぞれの集客経路に」アトリビューションが付いた。
なんとなくわかったでしょうか?
もう一度言うと、ある集客経路がコンバージョンユーザーに「どのタイミングで何回経由されたか」のデータを、それぞれの集客経路の「アトリビューション」と呼ぶのです。
アトリビューションで、集客経路ごとの「役立ち度」がわかる
こうして、集客経路ごと、広告ごとにアトリビューションを付けていくと、それぞれの集客経路や広告がどれくらいコンバージョン獲得に役立ったか、数値で比較できるようになります。
つまり、全ての集客経路のアトリビューションを集計すると、それぞれの経路や広告の「役立ち度」を数値で比較できるようになるのです。
アトリビューションとは、
集客経路がCVユーザーに「どのタイミングで何回経由されたか」のデータであり、
それぞれの集客経路の「役立ち度の指標」である。
「アトリビューション分析」をかんたんに説明すると
さらに、集計したアトリビューションデータを分析して、コンバージョン増加に役立てる方法がアトリビューション分析です。分析というと少し難しそうですが、次のように考えるとわかりやすいでしょう。
- 集客経路ごとのアトリビューションデータを集計する
- データ(数値)を比較して、アトリビューションの多い経路を見つける
- そこを「よりコンバージョンしやすい経路」と位置づけ、そこからの集客を増やす
- その分コンバージョンが増える
この一連の流れがアトリビューション分析です。
さらにわかりやすくなるよう、次の例を読んでみてください。
アトリビューション分析の例
このような例で考えると、アトリビューション分析のイメージはもっとシンプルになると思います。
例1:「アトリビューション分析を行ったら、Yahoo!リスティングの特定のキーワードがコンバージョンしやすいとわかり、そのワードの予算を増やして、さらに多くコンバージョンを獲得した」
例2:「自社で運営しているブログのあるカテゴリの記事が、ほかよりコンバージョンしやすいとわかり、そのカテゴリの記事を増やしたところ、コンバージョンがさらに増えた」
この例2つは、いずれもうまく成果につながった立派なアトリビューション分析です。
アトリビューション分析をうまく理解できていなかった人は、まずここまで読んだだけでもだいぶすっきりしたのではないでしょうか。
アトリビューション分析とは、アトリビューションデータを使い
「コンバージョンしやすい経路を見つけて、コンバージョンを増やすこと」である
広告効果測定 ≒ アトリビューション分析 である
アトリビューション分析が「売れやすい集客経路を見つけてコンバージョンを増やすこと」と考えてしまえば、つまり「広告効果測定とは、アトリビューション分析のことである」とも言えます。
もちろん、厳密に言えば、それぞれ異なる意味合いがあります。
(文章にするなら「広告効果測定のためにアトリビューション分析を行う」という感じ)
しかし、大きく考えれば、この2つは互いに同じ意味と考えても問題ないでしょう。
「直接効果」「間接効果」をかんたんに説明すると
アトリビューション分析の大枠を理解できたところで、次は、広告効果測定やアトリビューション分析に欠かせない頻出単語「直接効果」「間接効果」をかんたんに説明します。
直接効果?間接効果?
筆者にはこれも最初はわかりにくく、なんとなく「コンバージョンに間接的に効果があったら間接効果で、直接的に効果があったら直接効果・・・?」くらいまではイメージできるものの、具体的な理解までは時間がかかりました。
とりあえず、それぞれシンプルに言うと、こうなります。
- 直接効果:コンバージョン「直前」の、最後の訪問経路
- 間接効果:コンバージョン直前「以外」の、それよりも前の訪問経路
これも、さらに図を使って説明します。
CVの直前なら「直接効果」をカウント
下図のネクタイを締めたユーザーが、バナーA、B、Cからあなたのサイトを何度か訪問して、結局バナーCから訪問したときにコンバージョンしたとします。
ユーザーは、バナーCをクリック後、すぐにコンバージョンしました。このことからバナーCは、コンバージョンに対して直接的に効果があった広告で、コンバージョン直前の訪問経路になった広告です。
このバナーCには、アトリビューションとして「直接効果が1あった」とカウントされます。
直接効果以外は「間接効果」としてカウント
また、この同じコンバージョンユーザーは、以前バナーAとBをクリックしてサイトを訪問しています。
バナーAとBは、直接効果はなかったものの、コンバージョンするユーザーを集客できたわけなので、コンバージョンに対して間接的に効果があった広告と言えます。
よって、バナーAとBには、アトリビューションとして「間接効果が1ずつあった」とカウントします。
「コンバージョンしたユーザー」が、
CV直前にクリックした広告には「直接効果」があった。
直接効果以外(以前)にクリックした広告には「間接効果」があった。
注意:コンバージョンユーザーのクリックのみ「直接効果」「間接効果」として数える
なお、あくまで「コンバージョンしたユーザー」がクリックした場合のみ、「直接効果」があった、もしくは「間接効果」があった、とカウントすることに注意します。
コンバージョンしていないユーザーにいくらクリックされても、その広告にアトリビューションは付きません。こういうコンバージョンにつながらなかったクリックは「効果なしクリック」とか「アシストなし訪問」などと呼びます。
(「この広告には効果なしクリックがxx回あった」とか「この集客経路は効果なし訪問を100とってきただけなので、強化する意味はない」といった言い方になります)
アトリビューション分析でCVを増やす最もシンプルな手順
ここまで読んだら、アトリビューション分析を始めるのに必要な用語は理解できたことになります。
次は、アトリビューション分析でコンバージョンを増やす際に行う、具体的な手順を説明します。
準備 – アドゴクウを入れておく
アトリビューションデータは、専用のツール(広告効果測定ツール)でないと取得できないため、まずどれかを導入します。
ここでは「アドゴクウ」というツールを使って説明します。
アドゴクウは、広告効果測定の必須機能に絞ったシンプルなツールで、他ツールと同様の正確性で直接・間接効果のリアルタイム測定ができますが、他よりひとけた以上安く、間接効果なども分かりやすく指標化されているため、今すぐアトリビューション分析を始めたいサイトに向いたツールとなっています。
導入は、アナリティクスと同じように、タグをサイトに埋め込むなどすれば終わります。
導入後は自動分析でコンバージョン増加の手がかりに
導入が済んだら、以降は自動でアトリビューション分析の結果が出てくるので、数字を見比べて「コンバージョンしやすい経路や広告を見つけ、集客を強化します。
すると、それに応じてコンバージョンも増加します。
リスティング広告の広告効果測定のポイント
リスティング広告を出している場合も、リスティング付属の管理画面だけでなく、必ず(アドゴクウなどの)広告効果測定ツールでも効果チェックをするようにします。
アドワーズなどリスティング付属の管理画面では、アトリビューション分析でいう直接効果だけを不完全に見ることしかできず、判断を誤ることが多々あります。一方、アドゴクウで間接効果を見ると、思わぬところで役立っていた広告や、広告費を浪費していた広告が見つかリ、驚くことでしょう。
いい広告だけでなく、役立っていない広告もチェックしよう
広告効果測定ツールがあれば容易にコンバージョンに役立つ広告を見つけられますが、加えて「役立たない広告」を見つけるのも容易になります。
リスティングなどを運用していると、クリックが多い広告を「集客に役立っている」と考えがちですが、広告効果測定ツールでアトリビューション分析を行うと「クリックが多いだけで直接効果も間接効果もない広告」がわかってしまいます。
こうした広告は、CPCの場合は特に広告費のムダになるため、早めに見つけて出稿を止め、その広告費を効果の高い広告に回しましょう。この作業もコンバージョン増加に地味に効いてくるので、忘れずに行いましょう。
おわりに:アトリビューション分析のポイントは「スピード」
ここまで、アトリビューション分析と、それをコンバージョンの増加につなげる基本的な方法を、できるだけシンプルに解説しました。いかがだったでしょうか?
以前理解できていなかった方でも、ここまで読んで「とりあえず得体の知れないわけわからなさは解消した」「自社のサイトでもやってみよう」と思ってもらえたなら幸いです。
アトリビューション分析は、基本的には「データの取得と比較」が全てなので、早めに開始してデータを取り始めたほうが、すぐに導入効果が出ます。
逆に集客を始めてから間を置いてアトリビューション分析を始めるとコンバージョンのロスが大きくなります。
やったことがないからといってあまり先延ばしにせず、早めに導入してしまうのがよいでしょう。
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